Jリーグはもとより、イタリアセリエA、スコティッシュ・プレミアリーグでも活躍した中村俊輔選手が現役中にまとめた”サッカー観戦術”についての書籍。2019年3月出版なので、本稿執筆時の2年前になるが、いまだにJ1のピッチでスタメン出場を飾る”現役”選手がどのように、「選手」として、「観戦者」としてサッカーの試合に望んでいるのかを知ることができ、帯にあるように、ゴールシーン以外にどのような駆け引きが行われているかなど語られている。
モチベーション
サッカー選手に限らず、プロスポーツ選手が書籍を出版することは必ずしも珍しくない昨今だが、現役中に出版するとなると、やはりまだ珍しいという気持ちになる。しかも、「選手」目線ではなく、「観戦者」目線を意識したタイトルに惹かれ、本書を手にとってみた。
本書の概要
読み進めていくと感じられるのが、中村俊輔選手が「サッカー」というものをどのように捉えているか?ということについて、考えが述べられている。3バックと4バックの違いなど、システム的な話から、マラドーナやジダンといった影響を強く受けた選手の特徴や、ポゼッションサッカーの代名詞でもあるバルセロナなどのチームの特徴について自身の対戦経験などを基にしているため、とても説得力というか、リアルな話を聴いている気持ちになれる。
印象的な部分
そんな中でも、面白いなと感じたのは、時間がない中でのサッカー観戦術。ハーフタイムを除いたとしても、90分から100分程度所要してしまう1試合だが、前後半の15分から30分あたり”だけ”を観るというもの。その理由として、いいかのように述べている。なるほど、私自身も観戦ブログを残すようになってから、むしろ得点シーンは「アクシデント」による部分も多く、必ずしもチームとしての意図や狙いが出ているわけでもないことを感じていたため、このように思い切った”観戦術”は目からウロコだった。自分自身もハイライトシーン以外の部分にももっと注目したいと思っていたので、少し実践してみたいと感じられた。
何も起こらないことが多く、得点が入りにくい時間帯ともいえる
はじめに より
まとめ
対戦経験に基づいた考え方は、彼自身が現役であるが故、いまだ生々しさを強く感じられる。また、以下の様な”選手”中村俊輔の考えも赤裸々に語られているので、本書を読んで試合全体を観戦しつつ、中村俊輔選手にもより注目してみることができるはず。また、5章に記載されている「サッカー観戦の5項目」のように、今まで意識していないポイントがあれば、サッカー観戦にまた違った楽しみが見いだせるはず。
個人的には3バックよりも4バックのほうがスルーパスを出しにくい
第二章より