Home&Awayで行われているW杯アジア2次予選だが、新型コロナ感染症対策の状況を考慮し本来モンゴル開催の試合が日本での無観客試合に。自国開催のオリンピックで金メダルを目指すチームではなく、先日の韓国戦とこのモンゴル戦を優先した監督人事。実力差のある相手なのでメンバーさえ集められれば、どうあっても勝点3は固いはず。ただ勝点3を得るだけではないだろう本戦。
なお、モンゴル代表メンバーのほとんどが昨年2020年9月ぶりの実戦というところも厳しい状況。日本代表のメンバーがヨーロッパやJリーグで強度の高い試合をこなしている状況を考えると、試合のインテンシティも違ったものになってくるだろう。
■モンゴル 基本システム: 451 / 監督: ラスティスラブ・ボジク
■日本 基本システム: 4231 / 監督: 森保 一
前半
日本オフェンスシステム、モンゴルディフェンスシステム
日本は631で守るモンゴルに対して、RSBインナーラップ+RSHサイドに張る、LSBオーバーラップ+LSH中に絞るという左右の選手の組み合わせによって変えてきている印象。ビルドアップでは、ボランチが降りてくることなく、CB2枚とボランチ2枚の合計4枚が定位置でビルドアップを開始する。
モンゴルオフェンスシステム、日本ディフェンスシステム
終始日本がボール保持する流れだが、下図少ないモンゴルのオフェンスシーンでは442で攻め込む形を見せる。とはいえ、サイドバックが上がるまでにボールロストしてしまう苦しい展開。
前半まとめ
戦前の予想通り実力差は歴然としたもの。9枚でディフェンスを固めるモンゴルに対して、僅かなスペースや、相手ディフェンスラインのギャップをつく、あるいは、サイド攻撃がきれいにハマったかたちで5得点。
通常のW杯2次予選のアウェイ戦であれば、実力差があるものの、ピッチコンディションが悪かったり、気候が厳しかったりという部分に苦しむこともあるが、春先の日本での無観客開催ではそういう要素も皆無。U24の試合も踏まえて、A代表の今後のメンバーを絞っていく時期にある日本代表は、後半に十分テストできる環境が整ったといえる。試合そのものより、ベンチワークに注目したい後半となった。
後半
日本は4141にオフェンス変更、モンゴルは451のディフェンスに変更
日本は遠藤の1ボランチ南野・鎌田の2シャドーの形に変更。左サイドには浅野を投入。鎌田か南野が遠藤に近づきながらゲームを組み立てる。
モンゴルは、前半の541から451に変更し、日本のパスの出しどころをケアするような意図を感じる修正で後半に臨む。
6点目のシーンで、闘莉王氏の解説「大迫の軸足がデイフェンスをブロックしている」は今まできにしていなかった着眼点。確かに、シュートの意識が強いと、もっとゴールに正対するような軸足の置き方になるはずだが、ボールトラップするまではゴールと直角に体をむけ、後ろからくるディフェンスからボールを隠している。大迫のポストプレーの強さの秘密のひとつかもしれない。
日本は稲垣を投入し2ボランチに戻す
4141での1ボランチは20分ほどでテスト完了というところか。感覚的には鎌田がより活きるシステムに思えた。ここでの変更は招集メンバーのテストの時間ということになりそう。
Jリーグでも得点力の高さを見せている稲垣がボランチのメンバー争いに名乗りを上げられるか。
中谷は3番目以降の序列がまだ定かではないCBで少ないチャンスを活かしたいところ。
稲垣は投入後、早速大迫のポストプレーの落としからゴールを決め、持ち味の得点力でのアピールに成功。
古橋を投入し、浅野の1トップ、大迫の2列めをテストする日本
後半頭から投入されるも、いまいち効果的なプレーができていなかった浅野を1トップの位置に、大迫を2列めに下げ、左サイドに古橋を入れる采配。
最終局面
まとめ
後半開始時点ではまだ保っていたモチベーションが、8失点目くらいで流石に切れてしまったモンゴル相手に日本は色々なテストを実施。いくつか感じ取れたテストと、個人的な評価は以下の通り。
- 浅野の左サイド:少しイマイチ感があった
- 古橋の左サイド:途中出場からでも2得点と存在感を発揮
- 遠藤の1ボランチ、2シャドー:鎌田、南野は中央で活きるため、効果的だった
- 浅野の1トップ、大迫シャドー:浅野の裏抜け、大迫の2列目での繋ぎ+裏抜けというオプションはよかった
- 中谷、畠中のCB:守備機会も少ないなかで、CKを献上してしまうなど、印象はよくないかも。後半頭から使ってあげたかった気もする。
日本代表の最多得点記録に加えクリーンシートということで、U24のアルゼンチンとの1戦とは、試合のインテンシティそのものが違ったとはいえ、LSBの小川もレギュラー争いに加わってくる活躍もあり、チーム内競争が活発になってきたという意味では、意味のある1戦だったように思う。
次戦は2ヶ月後の6月3日の対戦相手未定のキリンチャレンジカップからの3連戦。ヨーロッパリーグはシーズンオフに入るタイミングでもあり、休養を取らせる目的で国内組中心に臨む可能性もある。オリンピックチームへのオーバーエイジ枠を使うのか?使うなら誰を?というあたりも含め、今回のテスト結果を踏まえた次回のメンバー招集がどのようになるのか、楽しみが一つできた。