両チーム共にボール際激しい守備から入る両チームは、やはりピーター・ウタカが得点にからみ、京都が勝利をあげたが、もう1人の外国籍選手であるヨルディ・バイスの活躍も見逃せない試合となった。FWウタカの「守備」、DFバイスの「攻撃」が鍵を握った試合を振り返る。
前半
千葉のオフェンスシステム、京都のディフェンスシステム
千葉は序盤早いタイミングで前線にロングボールを送る形が目立つ。ブワニカのポストプレーを狙っているようにもみえるが、京都の中央のプレッシャーも強く、収まる形にならないとみるや、サイド攻撃中心の攻撃に切り替えたようにみえる。京都は最前線のウタカが精力的にフォアチェックをし、後ろ9枚でガッチリ引いて守るかたち。最前線のウタカはもとより、ポジティブトランジッションの際に、低い位置からの上がりが求められる中盤の選手にも高い運動量が求められそうな、いかにもチョウ・キジェ監督のチームという趣き。
京都のオフェンスシステム、千葉のディフェンスシステム
千葉は442の3ラインでブロックを形成。縦横の距離感が近く、中央のスペースを埋める。
京都は、最終ラインで左右に揺さぶりながら空きを見つけようとするが、千葉が左右にスライドしながらバランスを崩さない。京都のバイスが比較的高い位置まで持ち上がったり、ウタカが落ちてくることで少しずつギャップを作ろうという工夫がみられる23分のシーン。バイスは三沢に預けた後、最終的にPA内にまでオーバーラップする。
給水ブレイク明けころから、京都の仕掛が奏功しているのか、千葉の選手間の距離が徐々に広がっていき、その広がったスペースを京都の前線の選手がうまく活用しはじめる。
後半
後半の入りは千葉がいいリズムでプレスを仕掛け、攻撃する局面を作り出す。
2ビハインドも、形はかえない千葉
千葉は後半給水ブレイクまでに2点のビハインドではあるが、戦術的な部分での失点というよりは、ミスやウタカの個人技(チェイシング)にやられたかたちということもあり、選手交代含め、前半からの流れを継続。
83分:3バック、2トップにする千葉
千葉は442から352の形にして、サイド攻撃からのクロス、中央のブワニカ、大槻という狙いを出す。京都もさすがにウタカの運動量も落ちたことに加え、千葉の最終ラインが3枚になったので、パスの出しどころが空くかたちに。千葉はクロスを上げるシーンを多くつくりだせるようになる。
まとめ
両チームとも、組織的な守備がしっかり整備されており、得点を上げるためには「質・量の優位性」あるいは「何かしらの工夫」が必要となる展開となった試合。京都には「質的優位性」をつくれるウタカがいるため、ともすれば単運にウタカを最前線に置きボールを集めがちだが、京都は落ちてくるウタカと上がってくるバイスによる中盤の崩しを選択。これが中央を固める千葉の守備バランスを崩しチャンスシーンを作り出した。得点シーンは、崩した形ではなく、セットプレーやアクシデント的なものではあったが、狙ったサッカーができていたように思える。FWの守備力、CBの攻撃力が勝負を分けたという意味で、今風のサッカーのお手本のような試合。
一方千葉に関しては、強烈な外国籍選手がいるわけでもないため、組織や工夫が必要だったように思うが、それが感じられたのは83分のタイミング。J2の長いシーズンを考えると、まだまだ序盤ということもあり、目先の勝利より「自分たちの形」の地盤固めをしているようにも感じられた。ブワニカをはじめ、若い選手も多く、チームとしての完成度がより高まり、個の能力が高まってくるだろうし、現状のリーグ下位で停滞するチームではないように思える。
参考リソース
https://www.jleague.jp/match/j2/2021/040406/live#live
https://www.jleague.jp/en/match/j2/2021/040406/live#live